思考断片

もう何十年も前の話だが...

 

 もう何十年も前の話だが、ある外食チェーンに取材に行ったとき、取材に応じてくれた役員さんは、途中から少しご機嫌斜めになってきて、こちらの質問に、正面から答えてくれなくなってしまった。私は、「これを聞いたら嫌がるだろうな」というようなことも、取材となるとオブラートに包まずに、ストレートに聞いてしまう習性があるらしいので、またやってしまったかと思っていたら、その役員さんは、「君がウチの会社に入ったら、社員研修で‥」というような話を無理やりねじ込んできた。

 私は、心の中で、その役員さんにレッドカードを突き出した。それはそうだ。自分の会社の組織の構造を、外に出ても無理やりそのまま適応させようとする人に、たまに出くわすことがある。そういう人は、電車に乗れば、同じ車両の人たちは全員自分の部下で、レストランに入れば、そのホールにいる人たちは、全員自分が監督すべき人たちになってしまう。

 上司の仕事には、部下を管理することのほかに、自分の人格を高めることがあると思う。なぜなら、部下は上司のレベル以上には、その上司のもとでは育たないからだ。下手をすれば、部下の可能性を潰してしまいかねない。

 その役員さんは、社内と社外の区別がつかなくなるぐらい、部下を管理することには熱心だったが、自分の人格を高めるというもうひとつの仕事には無頓着だったようだ。

[2017/05/19]

INFORMATION

小平隆一
(James Odaira)
株式会社ブランスリー報道社
代表取締役社長

青山学院大学英米文学科中退
武蔵野美術大学油絵学科卒業

東京都世田谷区在住
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