思考断片

次の世代に命をつなぐことができる数少ない業種


 

 街の商店には、鮮魚店、生花店,豆腐店などいろいろあって、それらは、ひとつの街が機能するための欠かせない要素だったが、スーパーなどの大規模店ができてからは、そうした専門性のある小規模店は、衰退の一途をたどってきた。

 そんな中で、ベーカリーは、いまだに栄えている数少ない業種のひとつだ。その理由はいくつかある。大規模店といかにして差別化できるかという視点でみたとき、ベーカリーには武器があった。

 まず、販売するものを仕入れるのではなく、製造するという点だ。つまり、小規模であってもメーカーであるということ。自店での加工度が高ければ高いほど、消費者にとっての買う必然性を作り出すことが容易になる。

 もうひとつは、顧客の顔を間近で見ながら商売ができることだ。これは、鮮魚店や生花店も同じだが、ベーカリーの場合は、製品の作り手が自ら顧客と接することができるのが強力な武器だった。

 製品の作り手が自ら顧客と接することができるのは、豆腐店も同じだが、ベーカリーの場合は、作り出す商品の種類が豆腐店よりはるかに多く、多様性に富んでいた。

 ベーカリーは、街の商店の中では、次の世代に命をつなぐことができる数少ない業種なのだ。

[2015/09/19]

INFORMATION

小平隆一
(James Odaira)
株式会社ブランスリー報道社
代表取締役社長

青山学院大学英米文学科中退
武蔵野美術大学油絵学科卒業

東京都世田谷区在住
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