思考断片

味と香りの着地点のイメージをしっかりと持つことの大切さ

 

 パンや菓子の講習会をしばしば取材しているが、最近は「製造の効率化」をテーマとしたものが多くなった。深刻な人手不足が背景にあるのかも知れない。製品の品質に妥協することなく、いかにして製造の時間短縮を実現していくかを、多くのブーランジェやパティシエたちが、以前にも増して真剣に考えている。
 時間短縮の方法は様々だが、最も有効な方法のひとつは、製法に工夫を施すことだ。これまでの、低温長時間発酵で生地が熟成することによって醸し出される美味しさの追求がひと段落して、小麦粉以外の素材の味と香りという観点に立った生地作りが多く見られるようになった気がする。
 低温長時間発酵は、生地の仕込みから窯入れまでの時間を長くして効率化を図る試みと捉えることができるが、最近は、生地の仕込みから窯入れまでの時間を短くして効率化を図る動きに戻りつつある気配だ。こうした試みの中から、パンや菓子の概念の幅を広げるような新しい製品が生まれつつある。
 成功例に共通しているのは、開発者が、味と香りの着地点のイメージをしっかりと持っていること。つまり、豊富な食体験に裏付けされた果てしない想像力を持ち合わせているということだ。

[2020/03/27]

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INFORMATION

小平隆一
株式会社ブランスリー報道社
代表取締役社長

青山学院大学英米文学科中退
武蔵野美術大学油絵学科卒業

東京都世田谷区在住