思考断片

いい材料を当然のように使って、それに見合う価格で当然のように売っているだけの事なのではないだろうか。

 

このところ、当社が開発し販売しているパン専用の原価計算ソフト、原価計算女王の販促活動に従事しているが、その使用感を実感としてしっかりと持っておくために、これまでに取材した製パン講習会のテキストを引っぱり出してきて、シンプルな配合のパンを選んで、ソフトにデータを入力し、原価や原価率などをチェックする作業を行っているが、配合されている材料を、有名で高品質とされているものに置き換えてみると、原価は果てしなく上昇していく。

ふと思い浮かんだのは、今一世を風靡している「高級生食パン」と称する製品の数々だった。「最高級の原材料を厳選しました」というのが、そうした食パンを製造販売する人たちの常套句だが、最高級の原材料を厳選して食パンを作ったら、原価もさぞ高くなるに違いない。

ここでピンと来た。そうだ、彼らは、いい材料を当然のように使って、それに見合う価格で当然のように売っているだけの事なのではないだろうか。特別なことなど何もなくただそれだけのことなのではないか。そして、さらに考えると、そこには、最高級のマーケティングも寄り添っている。

確かに腰折れはしているし、しわが目立つものもあるかも知れないが、食パンの価格は、1斤100円ではなく、800円なのだという主張に、多くの消費者を納得させるマーケティングの実力こそ、既存のベーカリーが抽出すべきエッセンスではないだろうか。

[2021/07/19]

INFORMATION

小平隆一
株式会社ブランスリー報道社
代表取締役社長

青山学院大学英米文学科中退
武蔵野美術大学油絵学科卒業

東京都世田谷区在住