思考断片
インボイス制度の正体は、歪んだ税制をさらに歪める苦肉の策
インボイス制度とは何か──それは、過去に財務省がつくった歪な税制のツケを、決して感心できない拙劣なからくりで修正しようとする制度だ。
売上1000万円以下の事業者は消費税の納税義務がなく、それでいて取引先からはしっかり消費税を受け取っていた。つまり、消費税を「益税」として自分の懐に入れてよいと黙認されていたのだ。
この「ゆがみ」を容認したのは財務省自身であろう。しかし時代は変わり、やはりそれはまずかったと気づいたのか、「インボイス制度」という新たな仕組みを導入した。
だがその中身は、益税を素直に廃止するというより、適格請求書発行事業者にならなければ取引がしづらくなるようにして、売上規模に関係なく消費税を納めさせるという、何ともお粗末な誘導だ。そして、なお残る非適格請求書発行事業者の益税の多くは、彼らから商品を購入した適格請求書発行事業者に肩代わりさせる構造になっている。
そのあり様は、くすっと笑ってしまうほど苦肉の策だ。こんな歪んだ制度をひねり出すぐらいなら、いっそ免税事業者制度そのものを廃止して、税の原則に立ち返るべきではないか。財務省の方々は優秀な頭の使いどころを絶対に間違っていると思う。
[2025/08/21]