思考断片
郵便局民営化の失敗──劣化した公共インフラの現実
郵便局の民営化は「民間の活力を活かす」ことを目的に行われたが、現実にはその効果はあまり見られず、むしろ信頼性の低下が顕著だと感じる。佐川急便が集荷し郵便局に引き渡す「飛脚メール便」は、配達に1〜2週間かかることもあり、ヤマト運輸の「クロネコゆうメール」も、かつての「DM便」より荷物到着に要する日数が明らかに多い。
主な原因は郵便局の処理体制にあると推察され、特に日曜日に作業を行わないことなどが配達の遅れを助長しているのではないか。ネット上には「ゆうメールが遅すぎる」との声が多く、郵便の物流機能は明らかに劣化している。
民営化により経営体制は変わったものの、高度な競争意識や経営感覚を持たない体質はそのままで、実質的には活力が生まれなかったのではないか。加えて、かんぽ生命の不正勧誘や配達員に対する酒気帯び検査の不履行など、モラルの低下も深刻だ。
郵便は単なる一企業の業務ではなく、日本経済を支える基盤インフラだ。中小企業や個人商店にとっては、安価で確実な郵便サービスが欠かせない。現在の郵便局はその期待に応えておらず、国の政策としての抜本的な見直しが急務だ。郵便局の民営化は、公共インフラの劣化を招いた明白な失敗だった。
[2025/08/21]