ベーカリー賛歌

繁盛の本当の理由


 

そのベーカリーは大阪にあった。中心部まで電車で約1時間ほどのベッドタウンにあった。駅からは歩いて15分ぐらいだ。

面した通りは、車がたまに通るぐらいで、人通りはまばらな感じだ。
そんな場所で、そのベーカリーはかなり繁盛していた。売れている店特有の活気があった。取材は楽しい雰囲気で進みつつがなく終了した。

菓子パンやら食パンやら焼き込み調理パンやらを一通り購入した。その日は真冬のかなり寒い日だった。

帰りの新幹線の中で、寒さで冷たくなった焼き込み調理パンを食べてみた。そのとき初めて繁盛の本当の理由のひとつがわかった。

冷たくなってもなお美味しかった。いや、冷たくなってこそ、焼きたてにはない別の美味しさがあった。上質の駅弁が冷めて美味しいことを思い出した。

東京に帰って、電話で追加取材をした。「焼き上がった時の味のチェックは当然しますが、それ以外にも6時間経ったとき、12時間経ったとき、1日経ったとき、2日経ったときなどに味のチェックを綿密にしています。お客さんの口に入るときに美味しいかどうかが勝負になるわけですからね」。

予想した通りの答えが返ってきた。

写真は大阪府岸和田市のベーカリー、ふるーるの焼きこみ調理パン(ブランスリー2003年4月号)

[2014/05/02]

INFORMATION

小平隆一
(James Odaira)
株式会社ブランスリー報道社
代表取締役社長

青山学院大学英米文学科中退
武蔵野美術大学油絵学科卒業

東京都世田谷区在住
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